研究課題/領域番号 |
16591226
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
今井 裕 東海大学, 医学部, 教授 (70138113)
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研究分担者 |
柳町 徳春 東海大学, 医学部, 講師 (70230274)
遠藤 じゅん 東海大学, 医学部, 助教 (60297223)
持田 讓治 東海大学, 医学部, 教授 (50174347)
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キーワード | 脊椎症 / MRI(磁気共鳴画像) / 拡散強調画像 / 早期診断 |
研究概要 |
本年度(平成19年度)研究実績の報告 1.本年度は、従来使用していたMRI装置バージョンアップのためラインスキャン拡散強調画像のソフトウェアが使用できないため、新しく導くされた3TMRI装置を用いてsingle-shotのEPI(echo planar imaging)にて拡散強調画像を撮像した。3TMRI装置では信号雑音比(SNR)が高いため空間分解能の高い拡散強調画像が得られた。具体的には、頸椎症が疑われた70例を対象として、T1強調像、T2強調像およびEPIにより拡散強調像を撮像し、C2からC3椎体レベルの圧迫されない正常脊椎脊柱管狭窄により圧迫されている脊椎部のADC(Apparent Diffusion Coefficient)およびFA(Fractional Anisotropy)mapからADCおよびFA値を計測した。また、一部の症例においては、神経線維の走行を示すTractographyも作成した。 C2-3椎体レベルにみられる正常脊椎のADCの平均は、0.79μm^2/msecdeで、1.5T MRIのラインスキャンで得られたADC値の平均0.87μm^2/msecに類似した計測値を示した。一方、頚椎症により脊椎に圧迫所見を有する症例における脊柱管狭窄部レベルでの脊椎内のADC値の平均は、1.14μm^2/msecと正常脊椎よりも明らかに高値を示した。一方、同時に測定した正常脊椎内の平均が0.86であるのに対して、狭窄部における脊椎内のFAの平均は0.69と僅かに低置を示した。これらの成績は、いずれもラインスキャンでの計測値とも同様の傾向を示した。 今回使用した3T MRI装置とsingle-shotのEPI拡散強調像は、これまで使用してきた1.5T MRI装置によりラインスキャンで得られる画像よりも明らかにSNRが高いため空間分解能を向上させることができた。しかし、磁化率アーチファクトの影響や動きにより影響が強く、ADCやFAの計測では関心領域(ROI)の設定により測定値が容易に異なり、その信頼性は乏しい。本研究を臨床応用するには、いかに正確なADCやFA値を測定できるかにあり、正確な測定のための何らかの工夫が必要である。
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