人体においてTIPS路を徐徐に拡張させていくという「Increasing Stent system」を作成することを目的として、今年度の実験計画は、まずそのような段階的に拡張できる金属stentを作成できるかを実験することと、そのような金属stentを留置した場合の血流評価をするために血管モデルを作成して、その模擬血管内に留置した数種類の金属stent間での血流比較をする基礎実験を計画し実践することであった。段階的に拡張させようとする金属stentとしては、或限度までstentを開かせてもまた収納することが可能であるWallstent以外にはない。そのEasy Wallstentが一時的に全面的に市場から回収されてしまったこと、今回の実験計画に沿うようなできるだけ収納できる範囲が長い新製品のWallstent RPの発売が昨年末から本年1月から本格的に販売許可になった事情があり、実験の遂行が遅れた。血流調節するためにWallstentに段階的に縛った絹糸はBalloon Cutting catheterで切断されることは確認できた。現在、浜松医科大学放射線医学講座礒田助教授考案の血管モデルを改造して血流測定を行う実験段階にある。要約:作動流体は40%体積濃度グリセリンとする。2本のチューブでステントがない場合のファントーム回路を作成する。定常流発生ポンプも接続してスライダックで流量の調節を可能とする。ファントームをMR装置にセットし、2つの管の流速測定を行う。撮像法は2D cine phase contrast MR imagingとする。模擬心電図発生装置でトリガーを掛ける。関心領域の流速は15-20cm/sec程度に合わせる。次にステントを設置した管に置き換えてMRIで流速測定を行う。得られた2D cine phase contrast MRIのデータはワークステーションで流速、流量のグラフが得られる。これで、ステント(+)とステント(-)のチューブで比較ができる。
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