研究概要 |
脳組織のMTR画像と^1H-MRSデータが、1.5テスラのMR臨床マシンにて、安定して測定、収集できるようにする為、新たに会じゃ津下MTパルス印加用のシーケンスソフトと、MRSのカーブフィッテイング用の新ソフトを導入し、その性能と操作性を、ファントムと、リクルートした数名のノーマルボランテイアに確認した。これらの確認後、実際に片側内頚動脈閉塞症の患者群を約数名リクルートして、以下の手順に従い各種計測を試みた。1)MR装置にて、患者のMR Angiography (MRA)を施行し、片側内頚動脈閉塞症の確認と、その閉塞の状態や狭窄率を正確に把握した。2)T1強調画像、T2強調画像を撮影して、脳実質内にラクナ脳梗塞や脳萎縮以外の病変がないことを確認した。3)T1強調画像、T2強調画像のスライス面と同一面にMTRの元画像となるMO(MTパルス印加無し)とMs(MTパルス印加有り)画像を撮影した。4)病側と健常側に左右対称性に関心領域(Volume of Interests ; VOI)を設定し、MRSのデータを収集した。5)患者の状態に合わせ、MRS, MTR測定後2時間以内にPET測定を開始した。PET測定では、トレーサとして酸素15標識のC^<15>O, ^<15>O_2, H_2^<15>Oの3種類を用い、脳血液量(CBV)、脳血液量(CBF)、酸素代謝量(CMRO_2、酸素摂取率(OEF)の一連の測定を1セットとして実施した。6)MTR、^1H-MRS、PETデータをROIベースにて比較を試みた。今回は6名の患者の測定を行った。うち2例はPETマシンのトラブルの為、比較検討から除外した。うち3例では、患者の大脳白質でMTRの低下、NAAの低下、CBFの低下が確認できた。うち1例ではOEF上昇に一致して、Choの上昇が確認できた。これらはPETの機能の一部をMRの機能に代替できる可能性を示唆しているものと思われた。
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