研究課題/領域番号 |
16591247
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鯉淵 幸生 群馬大学, 医学部, 助手 (10323346)
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研究分担者 |
飯野 佑一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50124649)
堀口 淳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70272242)
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80234681)
岩崎 俊晴 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80375576)
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キーワード | タモキシフェン / SXR / ホルモン療法 / chytochrome P450 3A4 / 乳癌 / MDR-1 |
研究概要 |
エストロゲン受容体(ER)は、乳腺組織の正常発達及び、乳癌の発育、浸潤に寄与する。抗エストロゲン剤であるタモキシフェン(TAM)は乳癌のホルモン療法に使用されてきたが、一部の乳癌はホルモン療法耐性を示す。近年、乳癌組織にER、プロゲステロン受容体(PR)のほかに、薬物代謝に重要なステロイド アンド ゼノバイオティック受容体(SXR)が発現することが報告された。SXRは核内ホルモン受容体で多数の薬物と結合し、multidrug registance(MDR)-1やcytochrome P450 3A4(CYP3A4)などの標的遺伝子のプロモーター領域に結合し、その薬物自体の分解、代謝を促進する。そこで、TAM耐性獲得におけるSXRの関与を解明するため本研究を行った。まず、乳癌細胞及び、腎線維芽細胞にCYP3A4、MDR-1プロモーター領域を含むレポーターを遺伝子導入し、レポーターアッセイを行ったところ、転写活性はTAM濃度依存的に上昇した。TAMはSXR非存在下ではCYP3A4及び、MDR-1の転写活性を変化させなかったが、SXRを加えるとSXRの用量依存的に転写を活性化した。このことからTAMはSXRを介し、CYP3A4及び、MDR-1の発現を増幅する可能性が示唆された。実際の乳癌細胞においてTAMを添加することによりCYP3A4及び、MDR-1 mRNA発現が増加することが準定量的RT-PCR法を用いて明らかとなった。さらに、TAMがSXRに結合することがBinding assayを用いて確認された。以上から、TAMがSXRに結合し、CYP3A4及び、MDR-1の発現が増加することにより、TAMの乳癌組織における局所的濃度が下がり、乳癌のTAM耐性が起こることが示唆された。今後、臨床研究による裏づけを行い、SXRがTAM耐性及び、乳癌の悪性度に対するマーカーとして臨床応用されることを期待したい。
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