研究概要 |
研究計画要旨及び実績概要:我々は以前、HLA抗原(HLA-B35及びHLA-B51)を移入したTransgenic mouse 2種類(C3H.B35,C3H.B51)を作成し,HLAクラスI分子の免疫応答における役割を直接in vivo(異所性心移植モデル)で解析するシステムを開発した。このモデルにてドナーHLA-B*3501由来の合成ペプチドのレシピエント胸腺内投与により移植心の生着延長を認めている(Transplant proceedings,30,3890-3891,1998)。今回我々は、このHLA抗原移入マウスを用い、アロ抗原の胸腺内投与によるアロ移植片特異的免疫寛容誘導メカニズムの解析を行った。 リンパ球を用いた養子免疫実験によるアロ特異的制御性Tリンパ球の特定:ドナーHLA-B*3501由来合成ペプチドをC3H.B51の胸腺内投与後得られたTcellのサブセットをMACSにて分離し、ナイーブC3H.B51に移入。その後C3H.B35由来の心グラフトを移植し、生着を観察したところ、CD4CD25リンパ球を移入したときのみ生着の延長を認めた。また、この際に生じる免疫寛容はHLA-B*3501抗原特異的であった。さらに、グラフトに浸潤したCD4CD25陽性細胞を回収し、制御性Tcell特異的であるFoxP3mRNAの発現をリアルタイムPCRにて定量的に観察したところ、上記HLA-B*3501由来合成ペプチドを胸腺内投与したときのみFoxP3mRNAの発現の上昇を認めた。以上のことから、ドナー抗原の胸腺内投与によるドナー特異的免疫寛容誘導にはドナー特異的CD4CD25陽性制御性Tcellが深く関連していると考えられた。
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