研究課題/領域番号 |
16591248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
別宮 好文 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70199454)
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研究分担者 |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
高山 卓也 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10332579)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 組織適合性抗原 / 調節性T細胞 / CD4陽性CD25陽性 / ペプチド / トランスジェニックマウス / 胸腺 |
研究概要 |
ドナー由来の抗原をレシピェントに投与して免疫寛容を誘導する方法は、動物実験では成功しているが、臨床的に確立するまでに至っていない。我々はこれまで、2種類のHLAトランスジェニックマウスを用いた心移植実験で、ドナーのHLA-B35分子由来ペプチドを胸線内に投与することにより、免疫寛容を誘導することに成功している。 一方、自己免疫疾患におけるCD4+CD25+T細胞(regulatory T細胞)の重要性が知られている。CD4+CD25+T細胞に特異的に発現している遺伝子でFoxp3という転写因子があり、この遺伝子をCD4+CD25-T細胞に導入すると抑制作用を示すことが知られている。また、Foxp3はCD4+CD25+T細胞以外の細胞では機能していないため、regulatoryT細胞のよいマーカーとなる。 前記の免疫寛容の機序を解明する目的でCD4+CD25+T細胞に着目した結果、次のことが判明した。すなわち、ドナーのHLA-B35分子由来ペプチドを胸線内に投与後4週間経過したマウスの脾細胞を採取し、CD4+CD25+T細胞を分離生成して、無処置のレシピェントに移入すると、その2週間後移植した心臓は永久生着することが判明した。さらに、third partyのドナー心は生着延長効果がなかった。つまり、ドナーのHLA分子由来ペプチドを胸線内に投与するだけで、ドナー特異的CD4+CD25+T細胞が末梢に出現し、これを移入することで、免疫寛容が誘導できるのである。 さらに、移植心の浸潤細胞におけるFoxp3の発現を検討すると、寛容が誘導された心臓にはFoxp3が高発現していることがわかった。一方、脾細胞中のFoxp3の発現は、コントロール群と差がなかった。すなわち、ペプチド胸腺内投与により誘導されたCD4+CD25+T細胞が移植心に集積して、免疫寛容誘導を引き起こしている可能性が高い。
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