研究概要 |
直腸癌に対する術前放射線化学療法の有用性をとくに治療感受性に重点を置き、分子生物学的アプローチにより検討中した。 放射線感受性に関して、大腸癌細胞株を用い、マイクロアレイでの検討を行った。大腸・直腸癌細胞株5株をの放射線感受性をX線照射後の増殖能、apoptosisで評価し、高感受性株(DLD-1,colo205,LoVo)、低感受性株(CaR-1,colo201)に分類した。選択した放射線高感受性株に対するX線反復照射(2Gy×10回)による放射線抵抗性亜株の樹立した。抵抗性亜株と感受性親株とのマイクロアレイの結果、抵抗亜株で高発現を示した遺伝子、感受性親株で高発現を示した遺伝子をそれぞれ同定した。なかでもApoptosisに関与する遺伝子に着目し、実際の臨床検体による再現性をRT-PCRにて確認したところ病理組織学的奏効例において有意にPTMA高発現を認め、結果を投稿中である。 また大腸癌細胞株における、5-FUの放射線感受性についても検討した。これまでの研究から、臨床の経口5-FU薬(UFT、S-1、PMC)を想定した濃度設定を行い、5-FU濃度、タイミングについて至適スケジュールを探った。5-FU 24h投与と放射線同時照射において、増感作用に優れ、S-1濃度域に入ると抗腫瘍効果を発揮した。またその効果のメカニズムを、細胞周期、DNA修復遺伝子に着目し、その一部を解明、現在結果を投稿中である。
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