MgFe2O4粒子を、10-53nmに調整し分散化させることで、リポソーム包埋が可能になった。SEM解析すると、凝集は見られず良好な分散を認めた。リポソーム包埋磁性体単独での発熱特性を解析すると、1cm腫瘍に対する局所注射により、腫瘍周辺温は約46℃、腫瘍内温は50℃程度であった。ハーセプチンwhole Abを結合させたリポソームの静脈投与の安全性は今回の検討期間中は明らかにすることは出来なかったが、in vitroでのSK-BR-3 cell lineを用いた抗体結合試験では、良好なaffinityを認め、更に誘導加熱を印加しない抗体化リポソーム単独で約20%の抗腫瘍効果、磁性体封入抗体化リポソームに誘導加熱を加えると約60%の腫瘍制御能を認めた。In vivoでは、静脈投与は安全性が確保できなかったため、局所注入する方法をとったが、誘導加熱負荷によりマウス10匹中8匹に高度の腫瘍縮小効果を認めた。組織学的検討でも、腫瘍中心にはnecrotic area、周辺に移行帯、apoptosis areaが認められ、有効な加温効果を認めた。 今後、抗体化リポソームの静脈投与、動脈内投与の安全性を更に検討し、臨床応用可能な方法に繋がる研究を展開する予定である。
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