1 臨床試験: 標準的治療法が無効な進行再発消化器癌を対象に、樹状細胞と腫瘍の融合細胞を用いた癌ワクチン療法の第I相臨床試験を行った。 目標症例数12例を終了し、以下の結果を得た。 (1)全例に重篤な副作用を認めず、安全性が証明された。 (2)臨床効果は、PR1例、SD6例、PD5例であった。 (3)DTH反応、Th1/Th2バランス、血清中抗ペプチド抗体の測定結果から、12例中約半数の症例で抗腫瘍免疫の誘導が確認された。 これらの結果から、進行再発消化器癌症例における融合細胞ワクチン療法は、重篤な副作用を認めず、抗腫瘍免疫誘導および一部の症例に腫瘍縮小効果を認めることから、癌ワクチン療法としての有用性が示唆された。 2.基礎実験: マウスの消化器癌転移モデルを用い、融合細胞ワクチン療法と、他の免疫療法との併用効果について検討した。その結果、NKTおよびNK細胞との併用において、融合細胞ワクチンの転移治療効果が亢進することが判明した。化学療法剤との併用においては、現在TS1との併用効果の検討を進めている。
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