研究概要 |
(1)ES細胞の培養: マウスES細胞およびFeeder細胞を入手し、できる限り継代培養をさけるべく初期の培養スケールを大きくして、今後の研究に必要十分量のES細胞の培養増殖をまず実施した。LIF不含有ES細胞用培養液に10%ES細胞用FCSを加えた培地で、MMC処理したFeeder細胞の培養を行い、次にLIF含有ES細胞用培養液に10%ES細胞用FCSを加えた培地でES細胞とFeeder細胞を共培養するごとにより、Embryonic bodyを形成させ、これをトリプシンにて処理した後、単細胞に浮遊しES専用凍結保存培地にて凍結保存した。 (2)マウスES細胞からの樹状細胞の誘導: マウスES細胞をLIFの非存在下にて、ES細胞培養液にマウスGM-CSFを加え2週間培養することにより、ES由来樹状細胞(ESDC)を誘導した。当初、ES細胞の質が悪く、培養に苦慮したが、厳密に細胞数をコントロールすることにより、培養条件の最適化をおこない、比較的質の高いESでの実験が可能となった。ES細胞から誘導した樹状細胞の形態学的特徴、FITCラベルのデキストランを用いた貪職能、フローサイトメーターを用いたMHC分子、CD11cなどの表面抗原の発現状態について解析した。ESDC誘導時に用いるサイトカインがGM-CSFのみでは樹状細胞の特徴をあまり表出せず、IL-4、IFN、TGFなど他のサイトカインの組み合わせ及びそれぞれの至適濃度について検討を進めている。今後、さらにTT, MLRなどによるリンパ球の刺激能について解析を進める予定である。また、これらの結果が複数のES lineに対して共通の現象であるかを確認するため、今回用いている細胞株とは別の種類のES細胞株を取得し、同様の解析を進めている。
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