(1)新マウスES細胞株の培養 平成17年度は新たにマウスES細胞株としてH-1、129sv、D3を、feeder cellとしてOP9、STOを入手して研究した。各ES細胞とfeeder cellの組み合わせを検討した結果、129sv ES細胞をSTO feeder cellとの共培養が最も培養状態が良好であった。 (2)129sv ES細胞からの樹状細胞の誘導 129sv ES細胞にGM-CSFを添加して2週間培養して、ES細胞由来樹状細胞(ES-DC)の誘導を試みた。培養後のES-DCを回収し、フローサイトメーターにて樹状細胞に特徴的な表面分子であるMHC class II、ICAM-1、CD11c、CD80、CD86、CD40、OX40Ligand、CD8α、CCR7の発現を解析した。比較対象としてGM-CSFにて2週間培養したマウス骨髄細胞(BM-DC)では測定したすべての分子の発現を高度に認めたのに対して、GM-CSFにて2週間培養した129sv ES細胞ではCD80とCD86の発現が確認されたが、それ以外の分子の発現は認められなかった。また、樹状細胞のサイトカイン産生能を検討するため、培養上清中のIL-12濃度をELISAにて測定したところ、BM-DCからはIL-12の産生が認められたが、ES-DCからのIL-12の産生は明らかではなかった。そのため、IL-4やTNFαを添加した培養系での誘導法の検討を進めている。さらに、抗原提示能力を解析するために、抗原ペプチドをパルスした樹状細胞とnaive T細胞を混合培養して抗原特異的CTL誘導能を検討している。
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