研究課題/領域番号 |
16591282
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
藤井 輝彦 久留米大学, 医学部, 助教授 (50199288)
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研究分担者 |
横山 吾郎 久留米大学, 医学部, 助手 (00309808)
山口 美樹 久留米大学, 医学部, 助手 (70330834)
桑野 信彦 久留米大学, 医学部, 教授 (80037431)
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キーワード | 乳癌 / YB-1 / ER-α / Akt / HER2 |
研究概要 |
乳癌に関連する新しい分子標的を見出し、構造・機能ならびに発現などを明らかにして、特異性の高い分子標的治療を発展させる目的で、YB-1について検討を行なった。 6種類の乳癌培養細胞株において、YB-1のsiRNAを用いてYB-1をkuockdownし、それによってup-regulateされた遺伝子はmajor vault protein(MVP)、HER2、progesterone receptor(PgR)、epidermal growth factor receptor(EGFR)で、down-regulateされた遺伝子はCXCR4とestrogen receptor-α(ER-α)であった。 免疫染色による検討では、YB-1の核内移行を示した症例は39例中19例(48.7%)であった。5年生存率をみてみるとYB-1の核内移行を認めた症例は認めていない症例に比べ、有意に予後が不良であった(p=0.0251)。YB-1の核内移行と臨床病理学的所見との関係では、YB-1の核内移行を示した症例では有意に再発率が高かった(p=0.0467)。YB-1の核内移行とMVP、HER2、PgR、EGFR、CXCR4、ER-α、MIB-1、p-Akt発現との関連性を検討した。YB-1の核内移行とHER2(p=0.0062)、p-Akt(p=0.0066)、MIB-1(p=0.0033)発現と正の相関を認め、また、ER-αとは負の相関を認めた(p=0.0369)。その他の遺伝子とは有意な相関は認められなかった。 乳癌において、YB-1の核内移行は細胞増殖動態を示すMIB-1と正の相関を示すことより悪性形質に関与している可能性があり、その機序としてはHER2-PI3K/AktやER-αを介する経路が示唆された。YB-1は乳癌の強力な予後因子になりうる可能性があり、また、新しい乳癌に対する分子標的として期待される。
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