研究課題/領域番号 |
16591285
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研究機関 | (財)田附興風会 |
研究代表者 |
石田 久雄 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 研究員 (40322771)
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研究分担者 |
三宅 正幸 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 部長 (90250076)
服部 登 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 主任研究員 (00283169)
広田 喜一 財団法人田附興風会, 医学研究所・第3研究部, 主任研究員 (00283606)
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キーワード | KMマウス / Aminopeputidase N / ヒト型モノクローナル抗体 / ADCC効果 |
研究概要 |
我々は、キリン麦酒より提供を受けたヒトのB細胞を持つKMマウスを用い、高肺転移細胞株SBC-HやHT1080でマウスを免疫し、転移に関係したエピトープを認識するヒト型モノクローナル抗体を作製していった。現在、これらの抗体のうち、肺転移を抑制できるものを11種類選別することができた。これらのうち7種類は蛋白質を認識しており、残りの4種類は糖鎖を認識していた。そこで、前者については遺伝子クローニングをすすめ、そのエピトープを明らかにし、後者についてはTLC immunostaining、NMR分析等でその糖鎖構造を明らかにしていった。その結果、3種のモノクローナル抗体は1つのエピトープを認識していると考えられた。cDNAクローニングの結果、これはAminopeputidase Nを認識していた。これまで高転移株と低転移株を用いてDNAマイクロアレイなどにより転移関連遺伝子を探究する手法はよくなされてきた。しかしながら、実際に機能性モノクローナル抗体を作製し、しかもヒト型モノクローナル抗体を用いて、in vivoで転移を抑制するような抗体を選別し、そのエピトープから癌転移に関わる分子を探究しようという試みは未だ世界でも類を見ない。特に、ヒト型モノクロール抗体を用い、研究を進めて行くと、容易に臨床応用ができることから、その価値は充分重要である。更に、我々は実際に多数の遺伝子をクローニングすることによって、これらの分子の転移における役割を明らかにし、転移のプロセスを追及していく予定である。現在のところ、エピトープの判明したAminopeputidase Nを認識しているヒト型モノクローナル抗体M2-E95、M2-F19、M2-F80はいずれも、IgG抗体であり、強いADCC効果を要しており、APN陽性癌患者に対して強力な抗体治療の成果を期待できると思われる。
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