研究課題
申請時に示した研究計画では、stageIII、IV胃癌150例の癌部、非癌部標本を凍結、paraffin両者を収集し、免疫組織染色を施行すると述べた。凍結標本は目標とする150例にほぼ達し、-80℃にて保存している。paraffin標本も同様である。その一部は、既に免疫染色を施行している。方法は、ホルマリン固定パラフィン材料、凍結材料の両者を施行しているため抗体(会社)によりその条件決定に難渋したが、ほぼ解決した。その中で1例に非常に興味深い結果が得られた。患者は、59歳男性でscirrhous胃癌で開腹時既に腹膜播種があり、胃全摘、D1郭清、R-Y、retro-colica再建した。術後vaccine療法などを施行し、22ヶ月stable disease (SD)であったが、23ヶ月後に再燃し再手術を施行した。病巣は横行結腸と交差するR-Y空腸の部分が一塊となっていたが、不思議なことに他の多数の腹膜播種部分は初回手術時と全く同じであった。手術はR-Y空腸切除、横行結腸切除を施行し再度R-Y吻合を行った。その後、腹膜播種の病巣が進展し初回術後33ヶ月で死亡した。この2回の切除標本の凍結、paraffin標本を用いて、β2-microglobulin, MHC-I, HLA-class I, HLA-DR, HLA-DP/DQ/DR, SART, LCKなど種々の抗体で染色した。その結果、凍結標本でMHC-Iで、初回標本陽性、2回目標本陰性となった。すなわち、HLAクラスI抗原のdeletionが起こり、病巣の急激な進展をしたと考えられた。臨床材料での報告は、melanomaではあるが、胃癌での報告はなく、貴重な結果である。今後、このような急速な胃癌の再燃症例で、新たなstrategyの開発につながると思われた。
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