研究課題
基盤研究(C)
【背景】本研究の目的は十二指腸乳頭部癌におけるリンパ節微小転移の臨床的意義を解明することである。【方法】当科において所属リンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除が施行された連続した十二指腸乳頭部癌50例を対象とした。各症例の郭清リンパ節合計1283個(中央値25個)について、リンパ節転移の有無を組織学的に評価した。通常の病理組織診断(H&E染色)で確認されたリンパ節転移をovert転移とし、抗サイトケラチン7・8抗体(CAM5.2)を用いた免疫組織化学検査で初めて確認された転移を微小転移と定義した。観察期間の中央値は119か月であった。【結果】overt転移を27例における90リンパ節に認めた。微小転移を12例における33リンパ節に認め、その12例全例にovert転移も確認された。リンパ節微小転移陽性例(overt転移個数の中央値、3.5個)は陰性例(overt転移個数の中央値、0個)と比較して有意にovert転移個数が多かった(P<0.001)。リンパ節微小転移陽性例では、遠隔リンパ節(上腸間膜動脈起始部リンパ節、大動脈周囲リンパ節)へのovert転移が有意に多かった(各々、P=0.001、P=0.038)。リンパ節微小転移は、単変量(P<0.0001)および多変量(相対危険度、5.085;P=0.007)解析で強い独立した予後因子であった。overtリンパ節転移が陽性であった27例においてリンパ節微小転移陽性例の予後(生存期間中央値、11か月)はリンパ節微小転移陰性例の予後(生存期間中央値、63か月)と比較して有意に不良であった(P=0.0009)。【結論】免疫組織化学により指摘されるリンパ節微小転移は広範なリンパ行性進展を示し、十二指腸乳頭部癌患者における予後不良因子である。
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