研究概要 |
前年度までの検討で5-ALA PDTの抗腫瘍効果に問題が生じたため、今年度は光増感剤をレザフィリン(NPe5)に変更し、その消化管癌に対するPDTの抗腫瘍効果について基礎的検討をした。NPe5は投与後の光線管理が2日間ほどでよく、5-ALAに次ぐ代謝速度を有するため、当初の目的を満たす増感剤と考える。更にNPe5は肺がんに対するPDTの増感剤として既に承認・認可されているため、臨床応用に早く持ち込める利点がある。ヌードマウス背部皮下にヒト胃癌株MT2を移植した。NPe5:10mg/kgを静脈内投与2時間後にダイオードレーザー装置にてPDT(620nm,80J/cm^2)を施行した。対照群は生理食塩水の静脈内投与とした。5-ALA PDTとの比較試験ではPDT7日後のCR率は5-ALA:0%(0/5),NPe5:80%(4/5)であり、NPe5 PDTの強力な胃癌に対する抗腫瘍効果を有意に認めた。レーザー照射のみの対照群との比較ではPDT14日後の評価でのCR率は対照群:0%(0/8),NPe5:87.5%(7/8)と良好な坑腫瘍効果を確認できた。長期観察ではNPe5PDTでは3週間以内に87.5%(7/8)のCRを得られ、その後局所再発は確認されなかった(観察期間12週)。NPe5 PDTのヒト消化管癌に対する抗腫瘍効果がin vivoで始めて確認された。今後はこの結果から臨床試験の展開を画策している。
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