研究概要 |
以下の3点につき検討した。 1.Adenovirus dominant negative TCF Adenovirus dominant negative TCFを作成した。このウイルス液は効率よく各種大腸癌細胞のTCF転写活性、およびその下流遺伝子であるcyclin D1,MMP7,c-mycなどのプロモーターの転写活性を抑制した。このウイルス液はin vitro、in vivoヌードマウス皮下腫瘍の増殖を抑制した。また肝転移モデルもよく抑制した。 2.TCF decoy Adenovirusよりも医薬製剤として利用しやすいものとして二本鎖TCF DNA decoyを開発した。これはadenovirus dominant negative TCFと同様に、各種大腸癌細胞のTCF転写活性・下流遺伝子のプロモーターの転写活性をよく抑制した。また、腫瘍細胞の増殖は抑えるが、非腫瘍細胞の増殖は抑えなかった。TCF decoyをFITC標識して細胞内への取り込みを追跡すると、24時間以内に核内に集積し、72-96時間細胞内に留まっていた。この結果は公表する。(Mol Cancer Ther,2006,in press) 3.Adenovirus antisense cyclin D1 Adenovirus antisense cyclin D1ウイルス液を作成した。ヌードマウス皮下に腫瘍を造り、adenovirus antisense cyclin D1で治療した場合、腫瘍の増殖抑制とともに、腫瘍血管の減少がみられた。HUVEC(血管内皮細胞)を用いた検討から、adenovirus antisense cyclin D1は直接内皮細胞の増殖を抑制することがわかった。またcyclin D1がSTAT3の活性化を通じてVEGFプロモーターを活性化することがわかった。この結果は公表する(Clin Cancer Res,2006 in press)。
|