研究概要 |
IFN併用化学療法の治療効果の増強の可能性について検討した。 <1>IFN併用化学療法の作用機序の検討 【IFNレセプターからのシグナル伝達を介した抗腫瘍効果の機序】 IFNレセプターからの各種シグナル伝達と抗腫瘍効果の関係について(1)STATの燐酸化に伴う核内移行とその後の、(2)death ligand (Fas-FasL)を介した腫瘍細胞破壊機構、(3)apoptosis抑制蛋白(Bcl-2,Bcl-xL,IAP等)、促進蛋白(Bax,Bad,Bid,APAF1,Smac等)及び実行蛋白(caspase群)の発現の解析について終了し、その関係を明らかにした。 【免疫賦活作用からのapoptosisの誘導】 免疫賦活作用増強のために、IFN-αの代わりにIFN-βの組み合わせの可能性について解析し、抗腫瘍効果はIFN-αと同等もしくはそれ以上であった。また、IFN併用化学療法下での、CTLの誘導と肝細胞癌細胞株のapoptosisの関連が明らかになった。 【抗血管新生作用関連】 IFNの抗血管新生効果に関しては、腫瘍内における血管新生関連因子(TSP、Ang-1、Ang-2、VEGF、Tie2、HIF1-α)のmRNAレベル及び蛋白レベル(免疫組織染色、ELISA法)での評価においては、Ang-2の発現が抗腫瘍効果との関与の可能性を明らかにした。 <2>難治性進行肝細胞癌症例に対するIFN併用化学療法の効果の検討 【効果予測式の作成と臨床応用】 効果予測を前提とする臨床応用のために、肝癌細胞株を用いて網羅的遺伝子解析(cDNAmicroarray)を施行し、key遺伝子についての検索を行った。pick-upされたこれら遺伝子群と臨床検体での結果の相互性について臨床検体で検討を加えたところ、85%の可能性で効果予測が可能で、効果予測式作成のための有用性を認める遺伝子が示された。
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