研究課題/領域番号 |
16591315
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤野 泰宏 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30335450)
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研究分担者 |
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
鈴木 康之 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40304092)
谷岡 康喜 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (00372649)
酒井 哲也 神戸大学, 大学院・医学系研究科, COE研究員 (80372647)
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キーワード | 膵島移植 / 2層法 / I型糖尿病 / 温阻血 |
研究概要 |
実験3:膵島移植では1つの膵臓から分離される膵島収量が低いことがone donor recipient移植の大きな障害である。collagenase膵管内注入法では、collagenaseが膵管を介してまず外分泌細胞に浸透する意味で理論的かつ効果的と考えられる。臨床で使用している180mmHgの注入圧では、膵島内により多く浸透したcollagenaseにより膵臓消化の段階ですでに膵島に対する高度な障害をもたらし、その結果、最終的には収量および機能が低下するのではないかと考えた。そこでヌードマウス移植モデルにおいてLower-pressure controlled injection(at 80mmHg, I群)Higher-pressure controlled injection(at 180mmHg, II群)にわけて膵島収量等検討した。I群ではII群に比して150μm以上の膵島数が有意に多く、収量に有意差を認め、stimulation indexもI群2.5とII群1.8に比し高値であった。ヌードマウス移植成功率もI群8/10とII群3/10に比し高値であった80mmHgでのLower-pressure controlled injectionは膵島分離における膵島への障害を最小限にすることで、収量を上げるとともにqualityの低下を最小限にした。 実験4:膵島移植後の低酸素状態をPF腹腔内投与により改善しグラフト生着率が改善するか検討した。 ルイスラットの門脈内に、予備実験でmarginal doseと考えられた1500IEQ(680±70islets)の膵島を移植した。実験群は、移植時に100%酸素で1時間酸素化したPFCを腹腔内に注入し以後6時間毎に移植後48時間までPFCを交換した群(I群)と窒素で飽和させることで全く酸素化しないPFCを同様に投与した群(II群)で、移植後の血糖の推移と移植後28日目のIPGTTの結果を比較。予備実験で1500IEQでの移植成功率は1/6であった(2200IEQ:6/6、1000IEQ:0/6)。 移植時に酸素化していないPFCを腹腔内に注入しても移植成功率は1/6(II群)と変わらなかったが、酸素化したPFCを投与すると移植成功率は5/6(I群)と有意な生着改善効果を認めた(p<0.05)。また、IPGTTではI群のarea under the curveは30493±5490とII群(45607±8482)に比べて有意に低く良好なglucose profileを示した(p<0.01)。酸素化したPFCを腹腔内に投与することで移植膵島の生着改善効果が得られた。
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