研究概要 |
本研究の概要は、DNAマイクロアレイによる胃癌化学療法奏効例の予測を試みることである。対象症例は切除不能・再発胃癌であり、化学療法のレジメンはweekly paclhaxel + 5' -DFURである。本療法の奏効率は約50%であるため、半数近くの症例は治療の恩恵を受けられない。オーダーメイド治療を行うには治療前に奏効例を判別する必要がある。現在、paclitaxel 70mg/m^2、5' -DFUR 600mg/bodyによりphase II studyを進行中である。 これまでphase II studyに42例が登録された。このうち20例において化学療法前の癌組織を計24検体採取し、凍結保存した。20例、24検体のうち14例、16検体においてDNAマイクロアレイの測定が可能であった。また超音波内視鏡による針生検では8検体のうち6検体(75%)においてDNAマイクロアレイの測定が可能であった。従って、針生検においてもアレイ測定に十分な組織が採取されることが確認された。DNAマイクロアレイが測定された検体において有効例と無効例を比較検討した。 DNAマイクロアレイの測定が可能であった14例のうち有効例が7例(CRO, PR7)、無効例が7例(PD2, SD5)であった。これら14例において54675個の遺伝子を解析した(U133 plus2 array, Affymetrix)。まず14症例のP-callが全てPである遺伝子を選択し958個の遺伝子をピックアップした。さらに958個の遺伝子から有効例と無効例の遺伝子発現の差が2倍以上の遺伝子を検索し、最終的に39個の遺伝子が選択された。39個の遺伝子のうち有効例でup-regulateしている遺伝子が37個、down-regulateしている遺伝子が2個であった。これらをFisher比でランキングした結果、34位までは全て有効例でup-regulateしている遺伝子であった。
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