研究課題/領域番号 |
16591335
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡會 伸治 横浜市立大学, 医学研究科, 準教授 (10244477)
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研究分担者 |
市川 靖史 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 準教授 (70254208)
籾山 信義 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20363822)
林崎 良英 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, プロジェクトディレクター (70192705)
鈴木 治和 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, チームリーダー (80333293)
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キーワード | 大腸癌 / 肝転移 / 5FU / 抗癌剤感受性 / OPRT / NAG-1 / TNFRSF1B / SLC35F5 |
研究概要 |
我々は大腸癌肝転移巣に対する5FUの感受性予測モデルを開発する試みとして、これまでに我々が検出した81種の感受性規定候補遺伝子に5FU関連酵素の遺伝子TS、DPD, OPRTを加えた84遺伝子の発現状況を臨床検体において定量的PCR法を用いて確認し,さらに予測モデルを作成しその有用性を検討した。【対象と方法】2001年4月から2005年3月までに当科で経験した大腸、直腸癌の同時性肝転移症例の22例。いずれの症例も原発巣切除後に肝切除術を前提として5-FUを中心とした化学療法を施行している。感受性群10例、非感受性群12例の2群にわけて比較検討した。原発巣手術時に採取した癌部からRNAの抽出を行い定量的PCRで発現量を測定した。【結果】TNF-α receptorのsuperfamilyであるTNF receptorIIをコードするTNFRSF1Bとゴルジ体上の糖輸送担体であるSLC35F5、TGF-βのsuperfamilyであるNAG-1で発現に有意差を認めた。5FU関連酵素であるTS、DPD、OPRTの発現を検討すると5-FUの活性化酵素であるOPRTの発現が感受性群で優位に高かったがTS、DPDでは優位差を認めなかった。これらの結果をもとに判別解析を行い線形判別式を作成すると感受性郡の10例中9例、非感受性群の12例中10例を識別し正診率86.3%であった。【考察】NAG-1はp53に制御される抗腫瘍効果を持つことが報告されており5FU感受性群で高発現を示していることは興味深い結果であった。また、TNF receptorIIの下流にはNFκβを介する抗アポトーシス系が存在しており、非感受性群で高発現であることから5FUによる抗腫瘍効果に拮抗しているものと思われた。これらの遺伝子群は原発巣から転移巣の5FU効果予測のための一助となる可能性をもつと思われた。 これらの報告は、Int J Cancerに掲載予定であります。
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