研究概要 |
今年度,膵癌化学療法耐性関連遺伝子の選定を完了した。Kang HC(Clin Cancer Res2004;10:272-284)ら方法に従って,ヒト由来膵癌細胞系(MIA-Paca2)を用い,gemcitabine耐性株および5-FU耐性株を作成した。そのそれぞれの耐性株の遺伝子発現異常を,マイクロアレイ法で検討した。今回使用したマイクロアレイは,Amersham社製Uniset Human 20K 1 Codelink Bioarrayで,20,000種類の既知遺伝子をプロットしたもので,実際の実験はクラボウ社に委託した。5-FU耐性株での検討が完了し,834種類の遺伝子(612遺伝子が発現亢進、222遺伝子が発現低下)が発現異常を示した。その中で,PCHA,RFC5,SUMO1,POLE,GTF2H2,RPA3,NUDT1,TDP1,PTTG1,RAD1,FEN1,JTV1,HUS1,CHK2遺伝子の発現更新が、PNKP,RAD54L,ERCC1の発現低下が重要と考えられ,その結果を現在Molecular Biology Repots誌に投稿,採用された(in press)。 また臨床検体を使用して行ったGemcitabine感受性症例とGemcitabine耐性症例の遺伝子発現の検討では,microsomal glutathione S-transferase 1(GSTT1),topoisomeraseII alpha(TOP2A),caspase 3,ATP-binding cassette sub-family C member 2(ABCC2)などがGemcitabine感受性症例で発現亢進しており,その結果を英文論文としてHPB誌に投稿,採用された(HPB 9:150-155,2007)。
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