腹腔鏡下胃癌手術におけるセンチネルリンパ節(SN)の赤外光観察(IRLS-SNNS)で、SN同定率、転移リンパ節検出感度を検出し、平成15年までの症例を加えて本法の有用性について検討した。開腹も含めると135人中134人と99%に同定でき、転移リンパ節検出感度も100%(16/16)であった。腹腔鏡手術には現在40人に施行し、SN同定率100%(40/40)、転移リンパ節検出感度100%(6/6)、正診率100%(40/40)と良好な成績であった。方法としてSNのピックアップでは8例中4例の50%しか術中転移リンパ節を同定できなかったが、リンパ流域切除をすれば、8例中8例の100%が術中に転移リンパ節を同定できた。術中迅速転移診断では、HE染色のみでは16例中10例の63%しか診断できなかったがサイトケラチン染色では16例中16例の100%が診断できた。腹腔鏡下胃局所切除を13例に施行したが、平均腫瘍径は19.7(6-29)cmであり、少なくとも3cmまでは切除可能であった。今後症例を増やし本法の有用性が証明されれば、今後早期胃癌における治療戦略は次のようになる。まず内視鏡的粘膜切除術を施行し断端陽性や脈管侵襲陽性ならIRLS-SNNSを行い、SNに転移がなければ腹腔鏡下で局所切除か分節切除を施行する。IRLS-SNNSによる局所切除の適応限界はT1・3cm以下・リンパ流域1流域・術中SNのpNOである。術中SN同定にはリンパ流域切除とサイトケラチン染色は必要である。以上の結果を学会で報告し、英文論文を執筆中である。また現在開腹、腹腔鏡下と2つの赤外観察SNNSの多施設共同研究を準備中である。
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