腹腔鏡下胃癌手術におけるセンチネルリンパ節(SN)の赤外光観察(IRLS-SNNS)で、SN同定率、転移リンパ節検出感度を検出し、本法の有用性について検討している。リンパ節転移診断にはHE染色のほか、サイトケラチン(CK)染色も施行した。現在80人に施行し、SN同定率100%(82/82)、転移リンパ節検出感度100%(11/11)、正診率100%(82/82)と良好な成績であった。以上の結果を学会で報告した。平成17年7月から多施設共同研究も開始したが、平成18年6月の時点で登録は28例であったため平成19年6月まで登録を延長した。平成19年4月の時点で登録は43例(当科は28例)となっている。6月で多施設共同研究は一旦終了するが、本研究は引き続き行う。本法の有用性が証明されれば、今後早期胃癌における治療戦略は次のようになる。まず3cm以下の分化型SM1までと1cm以下の未分化型Mのul(-)では診断的治療的内視鏡的粘膜切除術を施行し、断端陽性や脈管侵襲陽性ならIRLS-SNNSでリンパ流域切除を行い、SNに転移がなければ腹腔鏡下でICG陽性リンパ流域が1方向では局所切除、2方向では分節切除、3方向以上は幽門側胃切除あるいは開腹で噴門側胃切除あるいは開腹で胃全摘術を施行する。術中リンパ節転移が認められれば開腹に移行し、D2郭清を行う。分化型で3cm以上やSM2、未分化型で1cm、ul(+)、SM以深のものははじめからIRLS-SNNSを施行する。術中診断でCK染色を用いれば確実に転移診断ができる。
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