腹腔鏡下胃癌手術におけるセンチネルリンパ節(SN)の赤外光観察(IRLS-SNNS)で、SN同定率、転移リンパ節検出感度を検出し、本法の有用性について検討した。原則としてICG陽性リンパ流域のリンパ流域切除(以下LBD)を行い、ICG陽性リンパ節をSNとして術中病理診断を行った。術中検索をした転移症例で、LBDと以前施行したpick up法で術中術後転移検出率を比較した。術式は原則ガイドラインに従い開腹でも行った。術後原則としてすべてのリンパ節をHEおよびサイトケラチン(以下CK)染色をして転移検出率を比較し、偽陰性の有無を検索した。今回の研究期間を含めて2000年7月から2008年2月まで211例(腹腔鏡91例)に施行した。SN同定率210/211(99%)、感度34/35(97%)であった。偽陰性の1人は明らかに肉眼、触診で転移診断が可能であった。転移例35例中術中検索例は24例(LBD16例、pick up8例)で、すべてSNの転移であった。LBDvs.pick upで術中凍結HEのSN転移診断:2例(25%)vs.13例(81%)、同リンパ節の術後パラフィンHEでの新転移:0vs.1例(6%)、同リンパ節のCKでの新転移:3例(38%)vs.2例(13%)、術後リンパ流域内の別SN転移:3(38%)vs.0であった。術後すべてのリンパ節にCK染色を施行した130例の感度はHE:16例(12%)、CK:31例(24%)であった。HEでpN0・CKでpN(+)リンパ節は27個ですべてSNで微小転移以下であった。術中にLBDによるSN検索をおこなえば、HE染色で微小転移以上の転移診断は可能で、微小転移もリンパ流域内にあるため転移リンパ節の遺残はないと考えられた。以上より、転移陰性例はLBD以上の郭清を省略し胃は部分切除、転移症例は定型手術を行うという術式設定が可能である。
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