研究課題/領域番号 |
16591363
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
吉田 寛 日本医科大学, 医学部, 助教授 (60246999)
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研究分担者 |
田尻 孝 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20163462)
秋丸 琥甫 日本医科大学, 医学部, 教授 (40142541)
真々田 裕宏 日本医科大学, 医学部, 講師 (40312061)
谷合 信彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (20287725)
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キーワード | 血行動態 / 肝線維化 / 肝再生 / 遺伝子 / 脾臓 |
研究概要 |
教室では、門脈圧亢進症治療の1つである部分脾動脈塞栓術(PSE)には門脈圧減圧、汎血球減少の改善のみならず肝機能改善効果も認められることを報告してきた。また四塩化炭素投与ラットでは脾摘により肝の線維化が軽度にとどまることや、肝切除例の残存肝再生に脾は抑制的に働くことが報告されている。しかしこのような肝臓と脾臓の臓器相関のメカニズムは未だ解明されていない。我々はガラクトシル人血清アルブミンジエチレントリアミン五酢酸テクネチウム(Tc-99mGSA)を用いた経脾門脈シンチグラフィー(SSP)を考案した。本検査により生理的な脾静脈の血行動態と肝細胞密度を同時に解析可能となり報告した。 脾静脈血は流線現象により不均一に肝内に分布する。肝に対する脾静脈血の直接的な影響を検討するためには、肝内分布状況を把握する必要がある。我々が考案したTc-99mGSAによるSSPでは、first pass imageで生理的な脾静脈血行動態を把握できると同時に、非観血的な測定が難しい門脈血に占める脾静脈血の割合、脾静脈血の肝内分布状況や濃度、流量が測定できる。更にstatic imageにより肝細胞数、肝細胞密度を同時に測定することが可能となった。この手法で我々は、肝細胞数に比して脾静脈血流量が多い領域(葉)は正常肝および慢性肝炎では右葉で、肝硬変では左葉であることを発表し掲載された(Hepatogastroenterol 2005;52:1313-1319)。これは肝硬変の右葉萎縮、左葉代償性肥大のメカニズム解明の手掛かりと考える。 本研究は現在、脾静脈血行動態の肝に及ぼす影響を更に追求する目的で、肝線維化に加え更に肝再生にも着目し、術前Tc-99mGSAによるSSP施行例から術中採取した脾静脈、門脈、上腸間膜静脈、肝静脈、末梢の血液の各種サイトカインを測定するとともに、肝の各区域の組織を採取し遺伝子発現を比較検討している。さらにラット70%肝切除モデルを脾摘の有無で比較検討し、脾静脈血の特異性と肝への影響を追求している。
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