研究概要 |
【ラット膵切除モデルを用いた転写因子発現の検討】:膵切除後3,714,21日後の膵臓組織を採取し中性緩衝ホルマリンで固定後、パラフィン包埋切片を作製し免疫組織化学的検討を行った。1)Ki-67labeling index;腺房細胞、導管細胞、さらにラ氏島の内分泌細胞に多くの陽性細胞を確認した。膵切除3日後でcontrol群に比し優位に増加し、7日目以降減少傾向を示した。2)PDX-1強陽性細胞はcontrol群に比し膵切除群で優位に多数の細胞で観察されることから、PDX-1の発現が膵切除後に増強していることが示唆された。3)FGF-7、FGF-10のレセプターであるFGFR2-IIIbはラ氏島のα-細胞に発現しており、α-細胞の分化や機能発現にFGF-7、FGF-10が関与している可能性が示唆された。4)現在、FGF-7、FGF-10や転写因子のNgn3,Pax-6、Pax-4、GLUT-2等の局在を免疫組織化学的に検討中である。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いて各々の転写因子とのco-localizationを観察する準備を進めている。4)Western blot、real-timePCR法で転写因子やFGFR2-IIIbの発現を解析中である。 【培養細胞を用いた膵臓細胞の分化誘導】:1)膵癌細胞株PANC-1を用いてhigh-glucose処置によりislet様のcluster形成を認めた。2)現在、膵発生に関与する各種転写因子の発現をreal-time-PCR法で解析する準備を進めている。また、3)Cluster形成に対するFGF-7、FGF-10の影響について検討中である。4)Time-lapse法を用いて、cluster形成の過程や、FGF-7、FGF-10の細胞移動への効果について解析する準備をしている。
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