研究概要 |
成体の膵臓では、膵内分泌細胞や膵管においてもnestinを発現した細胞の存在が確認されており、膵細胞の前駆細胞としての機能を有する細胞と考えられている。【目的】ラットのアルギニン急性膵炎モデルにおける膵細胞再生におけるnestin陽性細胞の局在と膵細胞での発現について検討した。【結果】アルギニン投与6時間後Ki-67陽性の腺房細胞が増加し、投与4日後、多くの外分泌細胞と微小血管内皮細胞にKi-67陽性所見がみられた。投与7日、14日には、多くの外分泌細胞が再生され、それらの細胞はKi-67陽性を示した。Nestinタンパク発現はアルギニン投与後24時間後から増加し4日後、未処置群に比して最大9.5倍の発現を示した。Nestin陽性細胞は正常の膵臓では、ラ氏島内の微小血管内皮細胞に陽性を認め、他の細胞では陽性細胞を認めなかった。一方、アルギニン投与4日後では多くの微小血管内皮細胞、腺房細胞、微小導管細胞にnestin陽性を認め、さらに星状細胞、中皮細胞にもnestin陽性細胞を認めた。【結語】アルギニン膵炎モデルにおいて、膵炎からの回復過程において一過性に高発現したnestin陽性細胞は、腺房細胞、導管細胞のみならず、微小血管内皮細胞、星状細胞、中皮細胞の前駆細胞としての機能が示唆された。 Ishiwata T, Kudo M, Onda M, Fujii T, Teduka K, Suzuki T, Korc M, Naito Z : Defined localization of nestin-expressing cells in L-arginine-induced acute pancreatitis. Pancreas(In press)
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