研究概要 |
前年度までに、MDCK細胞や上皮様形態を保つ大腸癌細胞株(DLD-1)ではD4GDI(LyGDI/RhoGDIβ/RhoGDI2)が細胞間のapical側のtight junctionと思われる部位に局在すること、また、調べた全ての細胞株においてM期の中期ではcentrosome付近に局在し、染色体が両極へ分離し始めるとcentrosome付近から消失することなどを明らかにしてきた。今年度は、tight junctionタンパク質であるZO-1,Claudin-1,Occludinとの共局在を観察し、tight junctionへの局在を検証した。D4GDIは細胞間apical側に局在し、これらtight junctionタンパク質とも部分的に共局在した。また、これらの観察からD4GDIが細胞の極性や細胞分裂に関わる機能を有していることが推測されたので、HeLa細胞においてsiRNAによりD4GDIの発現を抑制しその影響を観察した。siRNAによりD4GDIの発現を80%以上抑制すると、異形核の出現頻度が上昇するとともに、細胞分裂に失敗した4倍体、8倍体細胞が出現し、D4GDIが機能的にも細胞分裂や極性に関わっていることがわかった。D4GDIは上皮系の癌では転移抑制遺伝子として報告されている。今回の我々の結果は、D4GDIの発現の低下が細胞分裂や極性の異常を引き起こし、大腸癌の悪性進展に関わっていることを示唆する。
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