研究課題/領域番号 |
16591372
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
權 雅憲 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70225605)
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研究分担者 |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (30333199)
里井 壮平 関西医科大学, 医学部, 助手 (90340695)
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キーワード | フィブロネクチン / 外科侵襲 / 生体保護作用 / Galactosamine / サイトカイン / アポトーシス |
研究概要 |
【目的】Galactosamine (GalN)を投与した動物ではLipopolysaccharide (LPS)に対する感受性が亢進しており、両者を同時投与すると広汎肝壊死が誘導される。フィブロネクチン(FN)は血液、体液、組織細胞間質に存在し、細胞保持と細胞移動を制御する高分子糖蛋白であり、細胞増殖や分化、組織修復、創傷治癒やアポトーシス抑制にも関与していることから、GalN/LPS誘発致死的肝壊死モデルに対するFNの生体保護作用と機序を検討した。 【方法】9週齢の雌性Balb/cマウスにGalN(400mg/kg)とLPS(50μg/kg)を腹腔内に同時投与して、致死的肝壊死モデルを作製した。GalN/LPS投与30分前にFNを静脈投与した群をF群とし、同量のBovine Serum Albuminを投与した群をコントロル群とした。 【結果】GalN/LPS同時投与により、コントロル群では24時間以内に全例が死亡したが、F群での生存率は濃度依存的に有意に良好であった。GalN/LPS投与後の血清AST、ALT、LDH値はFN投与群では有意に低値で推移した。血清中のTNF-α、IL-1β、IFN-γの濃度もFN投与により有意に低値を示したが、IL-10濃度はF群では有意な増加を示した。残存肝組織中の好中球浸潤数も、TUNEL染色のpositive indexもF群では有意に抑制された。さらに、F群ではGalN/LPS投与によるcaspase 3、8活性の増強の有意な抑制と、アポトーシスシの阻害蛋白であるBcl-xL発現量の有意な増加が認められ、転写因子NF-κBの活性化も、F群では有意に抑制された。 【考察】FNは、NF-κBの活性化抑制による炎症性サイトカイン産生抑制とIL-10の亢進、Bcl-xLの発現の抑制を介して、マウスの生存率を改善したと考えられた。
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