研究課題/領域番号 |
16591384
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
廣島 健三 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (80218833)
|
研究分担者 |
藤澤 武彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80110328)
飯笹 俊彦 千葉県がんセンター, 呼吸器科, 主任医長 (10272303)
渋谷 潔 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20302565)
伊豫田 明 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10302548)
中山 俊憲 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50237468)
|
キーワード | 肺癌 / マイクロアレイ / 間質細胞 / 細胞周期 / 予後 / リンパ節移転 / p16 / p21 |
研究概要 |
同側縦隔リンパ節に転移を起こしたN2非小細胞肺癌症例には種々の症例が含まれ、切除後の予後が良好な症例が含まれる。肺癌の発生に関係し2つの細胞周期の制御が重要である。1つはRb, cyclin D1,p16による調節で、他の1つはp53、p21による調節である。これらの調節により傷害を受けたDNAは細胞分裂が停止し、異常な遺伝子情報が受け継がれない。本年度の研究では、細胞周期に関するこれらの蛋白発現を検討することにより、N2非小細胞肺癌の亜分類を試みた。1990年から1995年の間に原発性肺癌として摘出手術を受けた症例のうち、N2非小細胞肺癌61例の摘出標本を用いて、免疫染色によりRb、cyclin D1、pl6、p53、p21、Ki-67標識率を検討した。また、これらの蛋白発現と予後について、検討した。Rb、cyclin D1、p16、p53、p21の異常は22.9%、81.9%、18.1%、75.4%、21.3%の症例に認められた。単変量解析では、p21、p16、Ki-67標識率が予後と関係した。多変量解析ではp21とp16の発現が予後と関係した。p21とp16がともに陽性となる症例は最も予後がよかった。Ki-67標識率は、扁平上皮癌、大細胞癌のほうが腺癌よりも高い値を示した。検討した症例の中で、臨床的N0、N1と臨床的N2の間に、予後の違いはなかった。細胞周期のチェックポイントにおける制御の消失は、N2非小細胞肺癌にしばしばみられるることがわかった。N2非小細胞肺癌は複数の細胞周期の制御機序の協調により制御されている。臨床的にN2であっても、気管支生検、気管支内視鏡などにより得られた標本で、p21とp16がともに陽性である場合は、手術により予後の改善が期待でき、病期はIII期であるが手術適応となりうる。 解析結果に関しては、2006年日本肺癌学会で発表し、雑誌Cancerに投稿し、現在in pressである。
|