研究課題/領域番号 |
16591391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鷲山 直己 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40334982)
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研究分担者 |
数井 暉久 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20094203)
鈴木 卓康 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (50397395)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | Total arch replacement / Antegrade cerebral perfusion / Brain protection / Cerebral infarction / Edaravone / SEP / Hexanoyl-lysine / Malondialdehyde |
研究概要 |
【目的】慢性脳梗塞モデルに対するASCP(Antegrade selective cerebral perfusion)において、free radical scavenger (Edaravone)の予防的投与による脳保護効果を検討した。 【材料ならびに方法】交雑犬(雌)の左内頚動脈からシリコン円柱を注入し、左中大脳動脈領域を選択的に塞栓し脳梗塞を作製。12時間後、神経症状をSmith ALらの報告に準じ5段階評価し、score 2もしくは3でかつ4週以上生存したものを慢性脳梗塞モデルとして採用。正常交雑犬および脳梗塞モデルそれぞれ12頭に対して、人工心肺を用いたASCP(直腸温20℃、灌流量10ml/kg/min)を120分間施行した後に36℃まで復温する実験を行い、以下の4群に分類した:A群(正常犬、非Edaravone投与)、B群(正常犬、Edaravone投与)、C群(慢性脳梗塞犬、非Edaravone投与)、D群(慢性脳梗塞犬、Edaravone投与)(各群ともn=6)。Edaravone投与群には冷却直前と冷却開始30分後にそれぞれEdaravone 1.5mg/kgを投与した。生化学的評価として血液中のmalondialdehyde (MDA)、hexanoyl-lysine(HEL)、Glutamate濃度を経時的に定量し、中枢神経系の機能的評価として体性感覚誘発電位(SEP : somatosensory evoked potential)を計測・解析した。 【結果】各群において術前因子および術中因子に有意差を認めなかった。C群において、ASCPI20分後より血液中MDA及びHEL濃度の有意な上昇を認め、復温に伴いその差は拡大した。またC群において、復温中直腸温28℃以降の血液中glutamate濃度の有意な上昇と、復温中直腸温28℃での動静脈乳酸較差の有意な拡大を認めた。またSEP解析では、C群において復温後の有意な中枢伝導時間の延長と振幅の低下を認めた。C群で認められた上記全ての有意所見は、D群においては正常犬群と有意差がないまでに改善された。 【結論】犬慢性脳梗塞モデル対する順行性選択的脳灌流において、Edaravoneの予防的投与による脳保護効果が認められた。これは脳梗塞既往症例に対する弓部大動脈手術への臨床応用が期待され、今後の手術成績の向上に寄与するものと考えられた。
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