力学的機能評価のみならず、容量-圧曲線及び心筋酸素消費を計測することにより、マウスにおける左室心筋の力学的エネルギー学的心機能評価を行うことを目的とし、平成16年度内にマウスにおける交叉灌流実験を確立し、マウスにおける正常心での力学的エネルギー的検討を行うことを目標に実験を行なってきた。 まず予備実験として、サポートとしてラットを用いるため、ラット血液とマウス血液を混合し、異常な凝集反応を生じないことを確認した。次に、マウスにラット血液を輸血することによっても心機能に異常が生じないことを確認した。 本実験系である血液交叉灌流マウス摘出心モデルでは、1匹のマウスから心臓を摘出し、ラットを代謝サポーターとし、その頚動・静脈と摘出心臓をつなぎ血液交叉灌流を行い、摘出心臓の冠循環を行なう。この際、摘出心標本に虚血を体験させないように心拍動下にカニューレを大動脈、右心室に挿入を試みているが、理想的なカニューレが存在せず、工夫しながら手作りのものを使用している。しかし、交叉灌流系が成立するものの、摘出心臓は交叉灌流の際には不全心となっており、実験系確立のためには摘出標本作成のスキルの上達、理想的なカニューレの開発が必要である。 スキル上達を目的に、ラット血液交叉灌流実験を行い、虚血再灌流障害に対するカルパイン阻害剤の有効性について検討した。(1)虚血再灌流障害不全心では、Ca^<2+>過負荷状態により活性化されたカルパインによりα-フォドリンが分解され、興奮収縮連関でのCa^<2+>ハンドリングが障害を受けることにより、機械的仕事は減少し、興奮収縮連関での心筋酸素消費量も減少した。しかし化学的エネルギーの機械的エネルギーへの変換効率は変化しなかった。(2)カルパイン阻害剤を用いることによって虚血再灌流障害不全心の形成が抑制されたことから、虚血再灌流の際の心筋保護におけるカルパイン阻害剤の有効性を証明した。
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