8週齢雄性Wistarラットの冠状動脈左前下行枝を結紮することによりラット急性心筋梗塞モデルを作成した。術後3〜24時間目に心臓を摘出しanti Reg-1 protein monoclonal antibodyを用いて免疫染色を行った。その結果、術後6時間目より梗塞心においてReg-1蛋白の発現が確認され、その程度は心室よりも心房において強いことが判明した。Reg-1蛋白は心筋細胞の細胞質内に細顆粒状に存在していた。なお、間質組織や血管組織など、心筋細胞以外は染色されなかった。以上より、Reg蛋白は心筋梗塞急性期において心筋細胞より分泌されていることが示唆された。そこで、Reg蛋白は心房心室間でparacrineに作用するものと考え、梗塞心におけるReg-receptor mRNA発現をreal-time PCR法により定量した。その結果、術後24時間以降より心臓内Reg-receptor mRNA発現は亢進しており、特に梗塞巣・梗塞-健常心筋境界域といった障害心筋において著明に発現していた。さらに、western blotting法により血清Reg蛋白を検索したところ、心筋梗塞発症後にReg-1とそのrecptor遺伝子の発現に呼応した血清Reg蛋白の分泌が確認された。 これらの結果から、心筋梗塞急性期では主に心房よりRed遺伝子が、心室よりReg-receptor遺伝子が発現し、Regは心房-心室間においてparacrine mannerにより作用している可能性が示唆された。
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