急性心不全ラット心臓組織におけるReg遺伝子の発現に関する検討:冠状動脈を結紮した心筋梗塞モデル、大動脈縮窄による過後負荷モデルといった2つの異なったラット急性心不全モデルを作製し、心臓組織におけるReg遺伝子およびReg receptor遺伝子の発現様式をreal-time quantitative PCR法により検討した。結果、心臓内Reg遺伝子発現レベルは心負荷の程度と正の相関関係をもっていることが判明した。Reg遺伝子は主に心房組織で、そしてReg receptor遺伝子は主に傷害心室組織で強く発現していることから、心臓におけるReg遺伝子は心房-心室間でparacrineな作用を示すものと推測された。 ヒト心臓組織におけるREG蛋白発現に関する検討:心筋梗塞剖検例より心臓標本を得、universal immunoenzyme polymer methodにてREG-1蛋白を免疫染色した。結果、REG-1蛋白陽性心筋細胞は梗塞心の心房・心室両方において確認された。線維芽細胞・血管組織など心筋細胞以外では染色されなかった。強拡大で観察すると、REG-1蛋白は細胞質内で細顆粒状に観察された。 ラット培養心筋細胞におけるReg遺伝子の発現についての検討:ラット心筋細胞(H9c2)を培養しシリコンチャンバーに播き、ストレックス社製培養細胞伸展装置(ST-140)を用いて任意の伸展率・時間で伸展刺激を与えた。採取した細胞における遺伝子発現量をreal-time RT-PCR法により定量化した。結果、10%・15%の伸展率、1・3・6時間の伸展刺激を与えても心筋細胞におけるReg-1 mRNA発現はみられなかった。ただし、ANP・BNP mRNA発現様式も文献的に得られるパターンとは異なっており、培養する心筋細胞の種類・伸展条件などを今後いろいろと変えて検討してゆく必要がある。
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