研究課題/領域番号 |
16591409
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70169770)
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研究分担者 |
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90245506)
塚田 紀理 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00365280)
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キーワード | 肺がん / 凍結療法 / 転移性肺腫瘍 / 食道穿孔 |
研究概要 |
【背景】超高圧アルゴンガスを用いた凍結装置が開発され短時間に端子を中心とした一定範囲を-135℃まで冷却できるようになった。また3断面表示CTが開発されたことから肺内の小型腫瘍に対し正確に誘導針を刺入し、さらにreal timeに凍結範囲を観察することが可能になった。しかし肺悪性腫瘍に対する局所麻酔下CT透視下cryoablationという極めて低侵襲な局所治療法において隣接する重要臓器への低温の影響などに関する基礎実験はまだほとんど行われていない。 食道は内腔側から壁全層が凍結されると穿孔を起こすことが知られている。癒着が無ければ人工気胸を作ることでこの問題は回避できるが、結核等で癒着している場合肺の凍結は連続して食道壁の凍結を引き起こしうる。 【目的】食道壁が肺組織を介して冷却を受ける際に、食道壁全層の凍結を回避する方法を確立すること。 【方法】体重30kgの仔豚を全身麻酔下に右開胸した。最も影響が強い状況を考え、肺を介さず直接的に食道壁を凍結させた。このとき凍結部の食道内腔温度を測定した。16Frセイラムサンプ胃管を挿入し管内に45℃の温水を30秒で約50ml注入し循環させた。注入中と注入停止後の測定温度、病理組織を比較し食道壁の凍結の程度を検討した。 【結果】凍結開始前、食道内腔温平均35℃。温水注入開始とともに凍結を開始。凍結開始後凍結端子先端温度平均-126℃。食道内腔温1分後平均29.6℃。2分後平均24.8℃。3分後平均22.4℃。ここで注入を停止した。注入停止後、1分後平均15℃。2分後平均13.7℃。 病理組織では食道筋層に高度なうっ血が見られたが、粘膜層には明らかな変化は見られなかった。 【結語】胃管より45℃の温水を注入することで20℃以下に下がることは防げた。また、粘膜層には明らかな変化は見られなかった。胃管の太さや温水還流方法などを今後検討する必要がある。
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