研究課題
基盤研究(C)
悪性腫瘍が成長する上で、酸素と栄養を供給するために血管新生が起こることが知られている。本研究では腫瘍循環特に肺転移巣における新生血管の分布、走行と腫瘍内酸素分圧について検討し、照射によって新生血管がどのように変化するかについて検討することにより、照射治療の効率を上げる方法を明らかとすることを目的とした。まず、皮下腫瘍モデルおよびDorsal skin window chamberモデルを用いて検討した。腫瘍の酸素加には100%の酸素吸入あるいは人工酸素運搬体を用いた。肺転移巣の循環動態を顕微鏡下に観察することは可能となったが、呼吸、心拍による画面の動きがあり、高倍率で精度よく測定を行うことが困難であったため、Dorsal skinfold window chamberを用いた。まずシリコンラバーによるキャストモデルを検討した。細静脈毛細血管の増生が著しいことが明らかとなったが、、10μm以下の腫瘍血管への充填が不十分と思われた。次にDorsal skinfold window chamber内に腫瘍を移植し、腫瘍循環を血漿をFITCアルブミンを用いて可視化することで観察した。腫瘍循環は毛細血管レベルから細静脈にいたる血管網の増生が特徴で、照射により細径の腫瘍血管の新生が抑制され、比較的太い血管が残ることが明らかとなった。また、腫瘍周囲の微小環境での酸素分圧の変化をレーザー励起PdTCCP法(パラジウムコプロポルフィリンによる燐光の減衰曲線の検討、MIPS-II)にて検討し、また、血管密度を測定、腫瘍循環の成立時の特徴を明らかにしたところ、腫瘍辺縁では酸素分圧が低下し、腫瘍中心部では健常部より低いものの、辺縁部より高い酸素分圧を呈し、腫瘍周辺部では活発な細胞増殖により低酸素環境にあると考えられた。FITCによる蛍光観察では腫瘍循環の照射による影響が、血管密度の減少であることが再確認された。
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