研究概要 |
動物実験による骨髄幹細胞の播種方法、処理条件の確立および至適ポリマーの探究を行った.実験動物として子犬を用い、骨髄幹細胞の採取した(2-4ml/kg).Ficoll法により、骨髄単核球細胞を採取し、それをスポンジ状のポリカプロノラクトンとポリ乳酸からなる共重合体ポリマーを補強材であるポリグリコール酸に塗布したハイブリッドポリマー(8×10mm)に得られた骨髄単核球細胞を播種した。これをインキュベータ内にて保存液中に浸した状態で1-2時間放置し、その後、右開胸下に犬の下大静脈に骨髄幹細胞を播種した再生血管を移植した.今回は、1,3,6ケ月抗凝固剤を使用せず経過観察した.従来の研究にて、骨髄細胞と生分解性ポリマーにより血管(8mm)が作成できることを証明いたしました.その際、補強材として吸収期間の長いポリl乳酸を使用しており、今回は吸収期間の短いポリグリコール酸での検討を行うことそして、骨髄単核球細胞のみでの組織形成が従来のものと変わらないことを確認した.吸収期間の短い生分解性ポリマーを使用することにより体内にてポリマー(異物)の残存期間を短くすること、そして自己細胞による組織形成を早くすることが可能となった.A.再生血管の外観.約1ヶ月にて内皮細胞に被覆されます.B.factorVIII陽性細胞を認めます.組織学的検討においては、一般染色(HE、マッソン染色、ビクトリアブルー染色)を行い、さらに内皮細胞を同定するためのfactorVIII染色、CD146染色、acetyl-LDLによる染色などを行った.また、血管平滑筋細胞を同定するためのαアクチン、分化した血管平滑筋細胞(myosin heavy chain)を同定するためにSM1およびSM2を、さらに未分化な血管平滑筋細胞を同定するためにSMembの各抗体により染色をおこなった.これにより組織内での分化を検討した.播種する骨髄単核球細胞を生体内にて追跡するため、播種前にCFDA, SEにて染色した.これにより、生体にて播種した単核球細胞が分裂し、増殖した際細胞質にCFDA, SEを持っているために他の細胞と識別さらに追跡することが可能であった.
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