研究課題/領域番号 |
16591448
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60332871)
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研究分担者 |
森岡 基浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20295140)
濱田 潤一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40253752)
甲斐 豊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30322308)
河内 正人 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (70178218)
森 正敬 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40009650)
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キーワード | 脳虚血 / 小胞体ストレス / CHOP / Bip / アポトーシス / 海馬 / 線条体 |
研究概要 |
細胞にさまざまな生理的・病理的ストレスが加わると、小胞体内に異常タンパク質が蓄積する晩象は小胞体ストレスと呼ばれている。本研究における平成16年度の研究目標は、脳梗塞病態時に小胞体ストレスがどのように関与しているかを明らかにすることであった。 まず、小胞体ストレス時に誘導されるCHOP遺伝子を破壊したCHOPノックアウトマウスの胎児を用いて海馬神経細胞の初代培養を行い、野生型マウスより調整したものと比較した。1時間の低酸素負荷を行うと、野生型では再酸素化9時間後に樹状突起が消失し、アポトーシスの指標であるTUNEL染色陽性となった。これに対して、CHOPノックアウトマウスでは細胞の形態変化はわずかであり、TUNEL陽性細胞は出現していなかった。 次に、野生型マウスとCHOPノックアウトマウスの両者に対して、両側総頚動脈を15分間結紮し脳梗塞の程度を比較した。野生型の線条体においては、再還流後7日目で神経細胞の脱落が認められたのに対し、CHOPノックアウトマウスではほぼ正常に保たれていた。同様に海馬では、野生型がCA1領域の神経細胞死を示していたのに対し、CHOPノックアウトマウスでは正常に保たれていた。野生型においては、線条体において虚血後24時問より、海馬では4日後よりTUNEL染色性が上昇した。また再還流後12時間をピークにCHOP mRNAの上昇が、24時間後にCHOPタンパク質の発現上昇が認められた。このことは15分間の一過性脳虚血が線条体および海馬において神経細胞のアポートーシスを誘導していることを示しており、CHOPの誘導を伴うことを示している。CHOPノックアウトマウスでは細胞レベルおよび個体レベルでこの神経細胞死が抑制されたことより、脳梗塞における小胞体ストレス応答反応としてCHOPの誘導が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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