研究課題/領域番号 |
16591452
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
片野 広之 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30295612)
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研究分担者 |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60238920)
梅村 淳 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00244567)
相原 徳孝 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00264739)
山田 和雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90150341)
浅井 清文 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70212462)
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キーワード | MSP / 脳損傷 / 脳虚血 / 凍結脳損傷 / 頭部外傷 |
研究概要 |
近年分離された新規プロテアーゼであるMSP(myelencephalic-specific protease)はラット、ヒトの脳、脊髄白質に多く含まれ、特にオリゴデンドロサイト、マイクログリア、ニューロンに多く認められる。トリプシン様の活性を持つことから基底膜や他の細胞外マトリックス構成分を変成させoligodendrocyteの増殖、突起の伸展分化やミエリンの水解・代謝あるいは神経成長やシナプス可塑性などのremodelingに関与している可能性がある。しかし、脳損傷時にどのような働きをしているかについては、未だ明らかでない。われわれは、まず小泉塞栓子法によるラット中大脳動脈閉塞虚血モデルを作製し、MSP mRNAの発現をin situ hybridization法によって確認した。MSPは梗塞周囲のペナンブラに相当する部位のオリゴデンドロサイトや脳梁、白質線維にそって特異的に発現し、損傷3時間後から発現がみられ、24時間から3日をピークに減衰した。MSP(mBSP)蛋白抗体を作製し蛍光二重染色を行うとmRNAと同じ細胞に発現しており、蛋白発現のピークは7日目にみられた(Mol Brain Res 126:129-136,2004)。また、ラット凍結脳損傷モデルでは、MSP mRNAは脳挫傷直下のオリゴデンドログリア,損傷部周囲の脳梁、白質線維に沿って損傷後7日をピークに発現していた。MSP蛋白蛍光二重染色にてmRNA発現細胞と一致して蛋白発現が同じく7日をピークにみられ、オリゴデンドロサイトのマーカーであるCNPase発現細胞とも一致が確認された。Western Blottingでは、19kD(3時間ピーク)と37,40,50kD(6時間と5日にピーク)の比重の異なるfragmentの発現がみられ、前駆型や修飾型などの存在が考察された(J Neurotrauma ; in press)。これらの結果から、MSPが脳虚血後の脱髄、オリゴデンドロサイトあるいはaxonの損傷修復(ミエリンの再髄鞘化や神経突起の成長)に関与する可能性が示された。また、細胞外にも発現がみられたことから細胞外マトリックスに対する作用も推察された。つまり、MSPはミエリン関連蛋白や細胞外マトリックス蛋白のturn overに関連していることが示唆された。白質線維の損傷に際しての発現をさらに分析するために、Marmarouらのラットびまん性脳損傷モデルを改良して本研究に導入することとした。このモデルではすでに我々は鍍銀染色とAPP染色で軸索損傷を組織学的に証明している(Restr Neurol Neurosci 16:9,2000)。ラットを抱水クロラール腹腔内投与による全身麻酔後、頭部にヘルメットを装着しウレタンマットの上におき、450gの重りを1.5mの高さから落下させ角加速度による外傷を作成するが、約20%の致死率(一時的に呼吸停止をきたす)の中〜重傷ラット頭部外傷モデルを作製した。このラットを用いてMSPのmRNAおよび蛋白について発現の検討を現在進めており、同時に脳神経外科研究室内に細胞培養の設備、環境整備のset upを終えたため、今後さらにMSPの脳室内遺伝子導入を進め、siRNAによる抑制による影響についても検討する予定である。
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