本研究プロジェクトの達成目標は、中脳ドーパミン細胞の変性をきたすパーキンソン病に対する同細胞の再生・移植療法への応用の可能性を探るために、骨髄間質細胞(bone marrow-derived stromal cells)が有する(1)神経栄養効果と(2)神経分化誘導作用を明らかにすることにある。そこで、平成17年度は骨髄間質細胞が有する(2)神経分化誘導作用について、特にES細胞に対する分化誘導について培養実験を用いて検討した。以下に、その結果を要約する。 (1)神経分化誘導作用:マウスES細胞を骨髄間質細胞と共培養することにより、90%以上の細胞が神経細胞の形態を示し、各種神経マーカーを発現することを証明した。 (2)ドーパミン細胞への分化誘導:マウスES細胞を骨髄間質細胞と共培養する際、FGF-8やsonic hedgehog等のサイトカインを作用させると約40%の細胞がドーパミン細胞の性質を示す細胞に分化させることができた。 以上の結果より、骨髄間質細胞はES細胞に対して神経分化誘導させる作用を有していることが示唆された。 今後、この神経分化誘導作用のメカニズムの解明を予定している。
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