1)2つのラット慢性脳低灌流モデルの作成 A)総頸動脈-外頸動脈瘻モデル:SD rat(220-250g)を使用しネンブタール(40mg/kg)腹腔内投与後無菌的操作で頸部を開創し右総頸動脈遠位端と右外頸静脈遠位端を10-0ナイロン糸で吻合し動静脈瘻を作成した。 B 両側総頸動脈結紮モデル:上記麻酔下に両側総頸動脈を結紮した。両モデルとも作成後8-12Wで25-30%のCBF低下をきたすと報告されている。 2)脳筋接合術前後の脳血流SPECT検査 両モデル作成1週後麻酔下に99mTc-PAO(4mCi)を静注し、ガンマカメラにて頭部を撮影した。さらに別の動物で両モデルに脳筋接合術(EMS)を右側に追加施行した。側頭筋を頭蓋骨より剥離し、直下に直径約8mmの骨窓を開け同部の硬膜を除去(4mm×7mm)し、側頭筋を直接脳表に接触させた。その3週後に同様にSPECT検査を行いEMS未施行の動物と比較した。 結果:Aモデルでは動静脈瘻作成側(右)の脳血流低下を、Bモデルでは小脳に比較して両側大脳の脳血流低下を認めた。EMS3週後には両モデルとも定性的にRI集積が上昇し、脳血流の改善を推測した。 考察:ラット慢性脳低灌流モデルを作成し脳筋接合術を行って脳血流を可視化した。両モデルともに脳血流は低下しEMSでその改善が示唆された。上記結果をふまえて今後の実験には、左右の比較が可能なB両側総頸動脈結紮モデルを使用することとした。筋肉内にチューブを留置して浸透圧ポンプよりbFGFなどの血管新生促進因子を持続投与する予定である。
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