研究概要 |
実験 A両側総頸動脈結紮モデルにおける脳筋接合術(EMS)と持続的bFGF投与の効果。モデル作成1週後麻酔下にEMS(側頭筋直下に径8mmの骨窓を開け硬膜を除去)を右側に施行。同時に浸透圧ポンプを皮下留置しbFGF50 microgramを2週間持続投与した。3週後に灌流固定し、脳虚血性変化と脳実質内血管新生の有無をHE染色で検討した(対照n=3,総頸動脈結紮n=3,総頸動脈結紮+EMS+bFGF投与n=3)。 実験B 慢性脳虚血モデルの脳血流量絶対値測定。右総頸動脈遠位端と右外頸静脈遠位端を吻合し、翌日対側総頸動脈にPE50(径0.58mm)で狭窄を作成した。4週後に^<14>C-IMPによる血流測定した(対照n=3,慢性虚血モデルn=7)。実験C 虚血負荷後のNeurogenesisの検討:慢性脳低灌流モデルと急性一過性脳虚血モデルの比較。上記慢性虚血モデルとMCA閉塞90分モデルで、 S期分裂細胞DNAのマーカーBrdUを断頭前3日間50mg/kg2回/日(計6回)腹腔内投与し、以下の観察部位でBrdU陽性細胞をカウントした。脳梁、皮質、基底核、海馬歯状回subgranular zone(SGZ)、側脳室subventricular zone(SVZ)、対照:精巣。 結果 実験A 3群で脳虚血性変化と脳実質内血管新生の明らかな違いは認めなかった。bFGF投与部位に繊維化がみられた。実験B 総頸動脈-外頸静脈痩/対側狭窄モデルでは左右とも大脳脳血流絶対値は対照の約60%に有意に低下した。実験C 総頸動脈-外頸静脈瘻/対側狭窄モデルでは、脳梁にBrdU陽性細胞が対照に比べ増加していた。MCAO90分モデルでは、病側SVZのBrdU陽性細胞は対側と比較して増加傾向であった。病側では梗塞巣やその周辺にBrdU陽性細胞が認められた。SGZでは、両側共にややBrdU陽性細胞の増加傾向を認めたが明らかな左右差は認めなかった。
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