研究概要 |
特発性正常圧水頭症(INPH)と診断された10例の髄液と対照10例の髄液中の蛋白を二次元ポリアクリルアミド電気泳動にて分離した。次に銀染色を行い蛋白スポットを可視化し、2D-PAGE画像を作成した。対照と比較してINPHでは13の蛋白スポットに発現の増減を認めた。これらの蛋白スポットを質量分析し、8個の蛋白が同定された。すなわち、leucine-rich alpha-2-glycoprotein (LRG), alpha1-antichymotrypsin (ACT), angiotensinogen, apolipoprotein D (apo D), apolipoprotein J(apo J), haptoglobin, Serum Albumin, alpha1 microglobulinである。この中でapoJはアルツハイマー病においても発現が増加している事が報告されており、haptoglobimとserum albuminはfrontotemporal dementiaにおいても発現が増加する事が報告されておりINPHに特異的変化ではない。これに反してLRGはINPHに特異的に増加発現していた。この研究結果は第5回特発性正常圧水頭症研究会において発表した。平成17年度は更に症例数を増やし、INPHに特異的に変化する蛋白を同定し、INPHの髄液診断を確立する予定である。
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