研究概要 |
骨髄間質細胞(Bone marrow stromal cell : MSC)移植による損傷神経回路治療の可能性を、RatのWhisker-barrel cortex sensory pathway(ratの一側ひげ刺激(Whisker)→同側の三叉神経主知覚核(PSTN)、脊髄路核(SPTN)→対側の視床ventral posteromedial核(VPM)→対側の大脳一次と及び二次知覚領域(barrel cortex : SI, SII)を中心に^<14>C-deoxyglucose法を用いて局所脳グルコース代謝(LCGU)を定量的に解析検討するとともに、損傷脳(barrel cortex SIの凍結病変)に移植されたMSCの移動と脳浮腫液との関係についても検討した。その結果、凍結病変直下に移植されたMSCは次第に病変内に移動するとともに病変周囲に広がるとともに、一部のMSCは脳梁に向かうものも認められた。MSCは凍結損傷によるvasogenic edemaの浮腫液を利用して移動する事が考えられた。一方、MSCを移植治療した動物群では対側VPMと凍結病変周辺(SII)のLCGUの有意の回復を認めた。また、凍結病変の体積はMSCを移植治療した動物群では有意の減少を認めた。以上より、凍結病変に移植されたMSCは脳浮腫液を利用して移動するとともに成長因子などの作用による脳保護作用があり、損傷大脳灰白質の保護とretrograde degenerationによるVPMの二次的障害の保護作用による神経回路治療の可能性が示唆された。これらの結果については、第7回脳浮腫・頭蓋内圧研究会(平成16年7月17日)および第16回神経損傷の基礎シンポジウム(平成16年11月20日)にて発表された。
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