研究概要 |
本年度はビタミンK(以下K)の評価を開始した。5週齢のC57BL/6雌マウスにOVXまたは偽手術を施行して4週後、偽手術のみ・OVXのみ・OVX+低Alendronate(以下ALN,5.6μg/kg)・OVX+高ALN(56μg/kg)・OVX+K・OVX+K+低ALN・OVX+K+高ALNの7群に分けた。Kは飼料混入、ALNは週一回皮下注射で8週間投与した。採取した標本の評価を今後行う。 さらに、昨年度に行ったVitamin Dに関して正常群(Sham群)の対象数の増加に加え、卵巣切除群(OVX群)の追加を行った。7ヶ月齢のWistar系雌ラットに、OVXまたは偽手紙(Sham)を施行し、vitamin D(1α水酸化ビタミンD3,0.1μg/kg)または溶媒を4週間、連日経口投与した。投与終了後、坐骨神経に電気刺激を加えることで下腿三頭筋の張力を反復測定した。その際、初回刺激と比べた各回の最大張力のパーセンテージで筋疲労を評価した。筋張力および筋疲労は、体重で補正した。計測終了後、ヒラメ筋の筋線維組成と筋線維径を計測した。また大腿骨遠位部の骨密度を測定した。 vitamin D投与により、筋張力は、OVX群、sham群とも有意に増加した。筋疲労はOVX群、sham群ともに溶媒投与とvitamin D投与との間に有意差を認めなかった。筋線維組成・筋線維径は各群間に有意差を認めなかった。骨密度は、sham群に比べOVX群では有意に低下していたが、vitamin D投与はOVXによる骨密度低下を有意に抑制していた。 vitamin D投与は正常およびOVXラットにおいて筋張力を増加させたが、筋疲労には効果がなかった。このことは、vitamin Dの転倒・骨折予防効果に関する筋への作用は、筋疲労ではなく、筋力に対して作用している可能性を示唆する。
|