研究概要 |
PMMA骨セメントは人工関節の固定等によく用いられているが、骨とセメントの間に繊維性皮膜を生じるため直接骨とは結合しないため、これが長期的には弛みの原因となりうる。一方、体液環境下でアパタイトを形成するにはカルシウムイオンの溶出と材料表面のシラノール基が必要であることが報告されている。そこで我々は、シラノール基を与えるr-metacryloxypropyltrimethoxysilaneとカルシウム塩を用いて生体活性化セメントを開発し力学的、組織学的評価を行った。 (方法)対照に市販の骨セメントを用いて4mm×15mmの円柱試験片を作製した。全麻下に2才の成犬の大腿骨を外側から貫き試験片を埋め込み、3週、5週、8週で力学試験を行った。組織学的には大腿骨遠位よりセメントを注入し3,5,8週でマイクロCTを撮影すると同時に硬組織標本を作製した。 (結果)力学試験では3,5,8週とも新規骨セメントがコントロールと比較して有意に骨との高い結合強度を示した。石灰化骨量は経時的に新規骨セメントで増加したのに対してコントロールでは骨量の増量は見られなかった。酢酸カルシウム塩を用いた生体活性化セメントが、最も有用であると考えられた。
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