研究課題/領域番号 |
16591478
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10345291)
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研究分担者 |
宗田 大 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50190864)
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キーワード | 間葉幹細胞 / 滑膜 / 骨髄液 / 軟骨分化 / 骨分化 / 脂肪分化 / 増殖 / 表面抗原 |
研究概要 |
近年、間葉幹細胞は骨髄液以外の種々の組織にも存在することが報告されるようになつた。しかし、各細胞の増殖・分化能を含めた特性が明らかでなく、再生医療を成功させるうえでどの組織由来の細胞を用いるべきか明らかにされていない。我々は、5種類の間葉系組織の細胞を採取し、その特性を比較検討した。 膝靱帯再建術時にインフォームドコンセントの下に骨髄液、滑膜、骨膜、骨格筋、皮下脂肪を採取した(n=8)。初代培養時、骨髄液は他の4組織よりも有意にコロニー形成率が低いが、1コロニー当たりの細胞数が多かった。低密度継代培養では、骨髄液、滑膜、骨膜由来の細胞は高い増殖能を示した。ペレット培養の手法でin vitroで軟骨分化させると、滑膜由来のものが最も軟骨基質を産生し、大きな軟骨塊を形成した。骨髄液、骨膜由来のものも軟骨基質を産生したが、脂肪、筋肉由来のものは乏しかった。脂肪分化能を解析すると、滑膜、脂肪由来のものが有意に高かった。同様に石灰化能は滑膜、骨髄液、骨膜由来のものが有意に高かった。15種類の抗体を用いて表面抗原を解析したが、各組織に特異的なマーカーは認めず、間葉系幹細胞での発現が報告されているSTRO-1、ALCAM、Endoglinについても各組織間で発現に差を認めなかった。ヒトの場合、0.1gの滑膜組織から2週間で平均300万細胞を回収でき、さらに2週間で数百倍に増殖させることが可能である。ウサギ滑膜由来間葉細胞を軟骨欠損部に移植すると軟骨修復が促進され、滑膜由来細胞はin vivoでも軟骨に分化した。滑膜由来の間葉幹細胞は優れた増殖能を有し、他の間葉系組織由来のものよりも軟骨分化能が高く、軟骨再生の間葉幹細胞源として有用である。
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