5種のヒト滑膜肉腫細胞株(YaFuSS、SYO-1、1277/99、HS-SY-II、Fuji)の全てにおいてはFGF2、8、9、11、18が発現していた。この発現パターンは悪性神経症腫細胞株NMS-2と類似しており細胞起源が近縁であることが示唆された。骨肉腫細胞株においては全く発現パターンが異なっている一方で、大腸癌細胞株と同様、通常間葉系細胞では発現のないFGF3、18の発現が認められた。またこれらFGF蛋白も培養上清中に分泌されていることが確認された。受容体はFGFR1、FGFR2C、FGFR3、FGFR4が滑膜肉腫細胞すべてにおいて発現していた。またFGF2、8、9、11、18および全てのFGF受容体の発現がほとんどのヒト滑膜肉腫組織においても認められた。滑膜肉腫細胞株培養下に組み換えFGF8蛋白の培地への添加により全ての滑膜肉腫細胞で用量依存的に細胞増殖刺激効果が認められた。またこのFGF刺激によりMAPKシグナル伝達分子のERK1/2、p38MAPKのリン酸化が誘導されいることが確認された。これらの結果から滑膜肉腫細胞がFGFとその受容体を発現しており、autocrine-paracrine機構、MAPK経路を介して増殖刺激を受けていることが示唆された。
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