研究概要 |
(研究目的) 圧迫性頚髄症(頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靭帯骨北症など)を主体として、各神経根刺激による上肢筋の筋活動電位を測定し、得られた筋活動電位の振幅により神経根支配分布から脊髄運動神経の再構築および可塑性について検討した。また、頚椎部の神経鞘腫瘍では神経根支配の再構成を電気生理学的に検討し、手術法の選択に応用する。 (対象および方法) 圧迫性頚髄症について、C5,C6支配とされている三角筋と上腕二頭筋から複合筋活動電位(GMAPs)を測定し、その振幅化の違いについて、脊髄電位をもとに決定した責任障害高位別に検討した。その結果から頚椎後方除圧後に生じるC5麻痺の発生原因について検討した。また頚椎部神経鞘腫瘍では本研究の成果を術式選択に応用している。 (結果および考察) 三角筋および上腕二頭筋ともその神経支配が責任高位により異なり、C4/5椎間に障害高位を有する症例ではそのC6髄節障害に起因して、C5神経根優位に支配されている。現在まで当科で手術を行い、術後C5麻痺を生じた症例はいずれも、C4/5椎間に責任高位を有しており、C5神経根優位に支配されている状態でC5根障害を生じることが、C5麻痺が顕著になる理由のひとつとして推察された。本研究結果は英文雑誌に投稿し、受理されている。また、頚椎の神経根から発生した脊髄腫瘍の術式選択にも応用している。すなわち、神経支配の再構築が完成されているか否かを術中に判断可能であり、このような症例では当該神経根を切離しても術後に全く運動麻痺を生じることはなく、本研究が臨床的にも有用であることを示唆する結果を得ている。本研究内容は日本整形外科学会で口演発表し、英文雑誌に受理され印刷中である。
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